採択者の声

盆栽鉢ストアゆきもの

世界の鉢と植物のペアリングを楽しむBONSAI鉢ストア 盆栽鉢ストアゆきもの

  • 杉並区 荻窪南口大通り親交商店会
  • 商店街
  • 開業

事業内容をお聞かせください

荻窪駅から徒歩5分の場所で「鉢と植物の組み合わせを楽しんでいただく」をコンセプトとした盆栽鉢・植木鉢のお店を営んでいます。
盆栽鉢というと多くの方は、茶色くて平たい、あの渋い鉢をイメージすると思います。でも実際は、鮮やかな色やさまざまな形など、見ているだけで楽しくなるものがたくさんあります。見た目の美しさだけでなく、植物が生きるための機能や、長い年月、屋外で使用できる耐久性なども備えています。盆栽鉢の専業作家が作る鉢を直接手に取って見ていただき、身近な植物と合わせて楽しんでいただけたら嬉しいです。

盆栽は海外に広く普及し、今では世界中の人たちが、日本で思われている以上に盆栽を楽しんでいます。海外にも盆栽鉢専業の作り手が生まれています。当店では国内外の盆栽鉢の作り手の鉢をそろえています。
また、植物を自分で植え込み、お持ち帰りいただくワークショップや、盆栽や鉢を楽しんでいただくためのイベントも開催しています。

採択されて良かったことと、助成金の手続きで苦労した点や解決方法があればお聞かせください

はじめに、東京都中小企業振興公社が都内の商店街で開業を目指す方に向けて販売機会を提供する東京都チャレンジショップ「創の実 吉祥寺」を活用しました。
ここで店舗運営を経験させていただいたことを契機に開店を決め、商店街起業・承継支援事業に申請しました。
助成金の申請は初めての連続で、さまざまな専門家の方のサポートなしにはできなかったと思います。
特に、事業計画書の数字には苦戦をしました。売上計画の作成については、チャレンジショップでサポートを受けていたコンサルタントの方に助けていただきました。また、定期的にTOKYO創業ステーションTAMAのプランコンサルティングも利用させていただきました。用語の基礎知識から学び、できるところから書いていくといった具合に、ひとつひとつ手探り状態で申請作業を進めていきました。

店舗の内装工事の見積については申請期限が迫るなか、時間を優先して判断せざるを得ず、とても慌ただしかったです。
何にお金をかけるのか、自分で調達できる部分はどこなのか、といった具体的なシミュレーションを早い段階に行えたら良かったと思います。

苦労を乗り越え採択されたことはとても嬉しかったですが、それ以上に、申請のプロセスが、事業やお店の将来を真剣に考える機会となったことに意味を感じています。  

経営者として意識していることはありますか?

一つ目はすべてを自分だけでやろうとせず、人と協力して物事を進めていく姿勢です。
現在の販売スタイルは、私ひとりで作り上げたものではありません。豊富な経験とそれぞれの表現スタイルを持つ鉢の作り手や盆栽家の方々の協力をいただいて成り立っています。また、当店のオンラインストアも、エンジニアの方からの改善提案をいただきながら運営しています。

二つ目は継続を目的にした柔軟な対応です。いろいろこだわりはあるけれど、お客さまが求めることや、世の中の状況に合わせて対応し、事業を継続させたいと考えています。
盆栽は日本の伝統文化としてとらえられがちですが、盆栽のちょっとしたテクニックや考え方を利用して、さまざまな植物ともっと自由に楽しんでいただけたらと思っています。お店では、盆栽からはイメージしづらい観葉植物や多肉植物などとの鉢合わせも提案しています。若い女性のお客様が「盆栽って、こんなのもあるんだね」「思っていた盆栽とイメージがぜんぜん違う。こういうのいいよね」と話されるのを聞くと嬉しく思います。

加入している商店街の良いところは何でしょうか。また商店街ではどのような活動をされているか、今後取り組みたいことなどあればお聞かせください

荻窪南口大通り親交商店会では、季節ごとに商店会フラッグを掲載するなど、杉並区と協力した街づくりが上手に行われています。

現在は、荻窪南口大通り親交商店会への開業を考えて商店街起業・承継支援事業に応募された方・準備中の方に私の経験をお伝えする機会もいただいています。

お店の近隣には「太田黒公園」「角川庭園」「荻外荘」という、杉並区の歴史ある3つの庭園があります。国指定史跡の「荻外荘」については、杉並区が2024年に史跡公園として公開するプロジェクトを進めています。同時に荻窪のまちの魅力を伝える取り組みも、行政・地域とで始まっており、商店会としても協力できればと構想を練っているところです。

直近では、その取り組みの一つである杉並区の「グリーンスローモビリティ」に協力しています。小型電動車を周遊させ、スタンプラリーを通じて荻窪めぐりを楽しんでいただく試みで、周遊エリアの中心に位置する当店は、ラリーおよび景品交換の拠点となっています。
いずれは荻窪の魅力を伝える玄関口として、地域の方々と荻窪を訪れる方々とをつなぐ役割を担えたらと思っています。例えば、「荻外荘」の公開時に、近隣エリアで盆栽や植物を楽しむ方の展示イベントを開催して地域を盛り上げていきたいです。

今後の展開について

開業してから1年間、近隣にお住まいの方々にお店を知っていただくよう努めてきました。今後はオンラインストアを通じて、植物の鉢にこだわりを持たれている全国の方々への発信にも力を入れたいと思っています。
いろいろやってみたいことはありますが、店舗運営は地味な作業の連続です。目下は日々のルーティン作業を確実にこなし、売上を重ねていきたいと思っています。

開業を目指す方へアドバイスをお願いします

実際にお店を持ってみると、地域の方々からの何気ないお声がけによって前向きな気持ちになることを実感します。
また、一年間シャッターが上がらなかったこの場所で開店できたことは、街のにぎやかさや活気の一端を担えるものと嬉しく思います。

私にとって、お店を持つことは現実的な目標ではなく、偶然訪れた機会でした。多くの支援を受けながら、思いがけないチャンスとして活かすことができました。
助成金の申請は大変ではありますが、専門家の力も借りながら、そのプロセスを楽しむ気持ちでチャレンジしていただけたらと思います。

店舗情報

店舗名 盆栽鉢ストアゆきもの
代表者名 笠井 有紀子
商店街名 荻窪南口大通り親交商店会
開業年月 2021年9月10日
URL https://yukimono.jp/
SNS
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取材日:2022年9月30日